大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

岡山地方裁判所 昭和42年(わ)733号 判決

岡山県総社市中原九八六番地

高川砂利株式会社

右代表者代表取締役

高本美忠

本籍並住居

岡山県総社市中原九八六番地

会社代表取締役

高本美忠

明治四一年二月一三日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官永瀬栄一出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人高川砂利株式会社を罰金一四〇万円に

被告人高本美忠を懲役八月に処する。

被告人高木美忠に対し三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人高川砂利株式会社(資本金四五〇万円)は岡山県総社市中原九八六番地に本店を置き、砂利等の採取販売業を営むもの、被告人高本美忠は、右会社の代表表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人高本は、右会社の業務に関し法人税を免れる目的をもつて砂利等の売上げの一部を会社の公表帳簿に計上せず、これにより架空名義の簿外預金を設定する等の不正の方法により

第一、昭和三八年一〇月一日より同三九年九月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額は一八、八九五、四〇三円、これに対する法人税額は七、〇三〇、一〇〇円であるのに、同三九年一一月三〇日所轄倉敷税務署長に対し所得金額が四、一〇六、九〇九円、法人税額一、四一〇、六二〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて右正規の法人税額との差額五、六一九、四八〇円を逋脱し

第二、昭和三九年一〇月一日より同四〇年九月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額は二六、一〇三、八三〇円、これに対する法人税額は九、四〇五、四〇〇円であるのに、同四〇年一一月三〇日所轄倉敷税務署長に対し所得金額が七、〇五八、六七四円、法人税額二、二六〇、七八〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて右正規の法人税額との差額七、一四四、六二〇円を逋脱し

第三、昭和四〇年一〇月一日より同四一年九月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額は四〇、八七五、二八八円、これに対する法人税額は一四、一八六、五〇〇円であるのに、同四一年一一月三〇日所轄倉敷税務署長に対し所得金額が二五、三四四、七七八円、法人税額八、七一〇、七五〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて右正規の法人税額との差額五、四七五、七五〇円を逋脱し

たものである。

(証拠の標目)

一、大蔵事務官作成の告発書

一、高本喜代美(八通)、荒木浮久子(四通)、山岡敬(三通)。石井留一(三通)、永田好輝(二通)、清水一(三通)、土屋敏(四通)、矢吹勝昌、吉沢潔(二通)、植田寛(三通)、国定耕司(二通)、野村忠夫、押川国吉の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、高本喜代美(二通)荒木浮久子、山岡敬、永田好輝、清水一、植田寛、国定耕司、佐田整遠の検察官に対する各供述調書

一、証人佐田整速の当公判廷における供述

一、被告人高本美忠の当公判廷における供述

一、同被告人の大蔵事務官に対する供述調書七通

一、同被告人の検察官に対する供述調書三通

(法令の適用)

被告人会社に対し

法人税法附則第二条第一九条昭和四〇年三月三一日法律第三四号による改正前の法人税法第四八条、第五一条(判示第一の事実につき)法人税法第一五九条、第一六四条(判示第二、第三の事実)刑法四八条二項

被告人高本美忠に対し

法人税法附則第二条、第一九条、昭和四〇年三月三一日法律第三四号による改正前の法人税法第四八条(判示第一の事実につき)法人税法一五九条(判示第二、第三の事実につき)刑法四五条四七条一〇条(いずれも懲役刑を選択し判示第二の罪の刑に法定の加重をする)二五条(刑の執行猶予につき)よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 牛尾守三)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例